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保温工事職人(断熱工事職人)とは?仕事内容や魅力、将来性などを徹底解説

現場未経験から新しい仕事に挑戦したいと考えている方にとって、「保温工事」や「断熱工事」という仕事は、あまり聞き慣れないかもしれません。しかし、実はこの仕事は、安定した需要とやりがいのある職種として注目されています。この記事では、「保温工事職人」「断熱工事職人」の仕事内容や、どんな人に向いているのか、実際の仕事の魅力、将来のキャリアアップの道、そして取得しておくと有利な資格までを丁寧にご紹介します。現場職に対して「きつそう」「怖そう」といったイメージをお持ちの方にも、実情を知って安心して一歩を踏み出していただけるよう、わかりやすくまとめました。
保温工事職人(断熱工事職人)の仕事内容とは?
保温工事職人、または断熱工事職人の仕事は、工場や建物の配管・ダクト・タンクなどに断熱材を取り付けることです。冷暖房の効率を高めたり、エネルギーのロスを防いだりする大切な役割を果たしています。仕事の内容は、断熱材を切って形を整え、配管に巻き付けたり貼り付けたりする作業が中心で、手作業が多く、正確さと丁寧さが求められます。未経験の方でも、ベテランの職人による丁寧な指導を受けながら、一歩一歩スキルを身につけていくことが可能です。
どんな場所で働くの?
保温工事職人が活躍する現場は、ビルや工場、病院、商業施設、さらには発電所やプラント施設など多岐にわたります。空調・給排水設備・蒸気配管といった箇所に断熱施工を行うため、全国さまざまな現場で仕事があります。屋内作業が中心になることが多く、雨風にさらされるケースが比較的少ないのも魅力です。設備工事がある限り、保温・断熱のニーズはなくならないため、地域を問わず安定して働ける環境が整っています。
どんな作業をするの?
保温工事の主な作業は、断熱材を現場に合わせてカットし、配管や機器にぴったり合うように巻き付けたり、貼り付けたりして固定することです。使用する断熱材にはガラスウールやロックウール、ポリエチレンフォームなどがあります。カバー材としてアルミやステンレスの板金を使用する場合もあり、繊細な手作業が求められます。図面や寸法に基づいて施工を行うため、慣れてくると「モノづくり」の楽しさを感じられるようになります。
危険はないの?
工具や素材を扱う仕事ですので、安全管理は非常に重要です。そのため、ほかの現場職のように、安全靴や手袋、ヘルメットなどの保護具を着用しての作業となります。基本的にチームでおこなう仕事なので、周囲に仲間がいる環境です。正しい知識と手順を守れば、リスクを最小限に抑えられます。
よく使う道具・工具は?
保温工事職人が日常的に使用する道具には、断熱材カッター、メジャー、ラシャ切狭、タッカー(ホチキスのような工具)、アルミテープ、そして断熱材を巻き付けるための針金などがあります。また、板金を加工する現場では、金切りバサミやハンマー、曲げ工具(ベンダー)なども活躍します。基本的には手作業が中心のため、道具もシンプルで扱いやすいものが多く、未経験の方でも使い方を覚えやすいのが特徴です。最初は使い慣れない道具も、毎日の作業を通じて自然とスムーズに扱えるようになります。
保温工事・断熱工事の楽しさと魅力
保温工事や断熱工事は、一見すると地味な作業に見えるかもしれませんが、実は非常にやりがいのある仕事です。手を動かしてコツコツと仕上げる作業の中には、モノづくりの達成感や、自分の手で仕上げたという満足感があります。また、生活や産業インフラを支える重要な役割を担っているため、「人の役に立っている」という実感を得やすい仕事でもあります。経験を重ねるごとに技術が上がり、成長を実感できる点も大きな魅力です。
モノづくりの達成感がある
保温工事は、目に見える「仕上がり」が仕事の成果として残る職種です。最初はただの配管でも、職人の手によって断熱材が巻かれ、美しく仕上げられていきます。その完成した姿を見ると、「自分の手で作った」という実感が得られ、大きな達成感につながります。特に、配管の形状に合わせて断熱材をぴったり仕上げられたときは、まさに職人技が光る瞬間。手先の器用さや丁寧さが求められるからこそ、仕上がりの美しさがやる気を引き出してくれます。
手に職をつけて働ける
保温工事は経験がものを言う職種であり、働きながら確実に「手に職」が身につきます。最初は見よう見まねでも、毎日の作業の中で道具の扱い方や作業の流れを覚え、少しずつできることが増えていきます。職人としての技術が上がれば、どこへ行っても通用するスキルになりますし、将来的には独立や施工管理者としてのキャリアアップも目指せます。「一生食いっぱぐれない技術を身につけたい」という方にはぴったりの職種です。
若手でも活躍できる現場
保温工事の現場では、20代の若手も多く活躍しています。未経験からスタートして、数年で一人前の職人として現場を任されるようになる例も少なくありません。体力が必要な作業もありますが、技術がメインの職種なので、年齢よりも「やる気」や「丁寧さ」が重視されます。若いうちから現場で経験を積むことで、年齢とともにスキルが磨かれ、将来的には現場のリーダーや管理職としてのポジションにも手が届く環境です。
保温工事・断熱工事に向いている人の特徴
保温工事・断熱工事は、体力や技術だけでなく、性格や考え方にも向き・不向きがあります。未経験から始められる職種ではありますが、「どんな人がこの仕事に向いているのか」を事前に知っておくことで、実際に働き始めたときのミスマッチを減らせます。ここでは、保温職人として成長しやすい人の特徴を5つに分けてご紹介します。自分に当てはまる点があるか、ぜひチェックしてみてください。
手先が器用・細かい作業が好きな人
保温工事の現場では、断熱材をピッタリのサイズに切り出したり、配管の形状に合わせて丁寧に巻いたりといった、細かい手作業が中心となります。大きな重機を動かすよりも、地道にコツコツと作業を進めることが多いため、手先が器用な人や、模型づくり・DIYなどが好きな人に向いています。作業精度が高ければ評価にもつながり、達成感を感じやすい仕事です。未経験からでも練習を重ねることで十分に上達できます。
規則正しい生活ができる人
保温工事の仕事は、基本的に朝から夕方までの現場作業が中心で、夜勤や不規則な勤務はあまり多くありません。そのため、朝早く起きて、しっかりと体調を整えて現場に向かえる人に向いています。夜型生活や寝坊が多い人にとっては最初は大変に感じるかもしれませんが、逆に言えば、生活リズムを整えたい人にはぴったりの環境です。体力勝負の側面もあるため、日々の生活習慣を大切にできる人ほど長く働ける傾向にあります。
チームでの仕事が得意な人
保温工事は複数人で連携して作業を進めることが一般的で、仲間とのコミュニケーションが非常に重要です。先輩と後輩、職人同士、時には他業種の職人さんとも連携を取ることが求められます。「報告・連絡・相談」がしっかりできる人、協調性を大切にできる人は、現場で信頼されやすく成長も早いです。人見知りでも、あいさつやちょっとした気遣いができれば問題ありません。働くうちに自然とコミュニケーション力も養われていきます。
コツコツ続けるのが得意な人
保温工事の現場では、毎日コツコツと同じような作業を積み重ねていくことが多く、一度に派手な成果が出る仕事ではありません。そのため、地道な作業を丁寧に継続できる人や、反復作業にストレスを感じない人に向いています。また、ひとつの技術をじっくり身につけていく姿勢が評価されるため、「続ける力」がある人は長く活躍できます。毎日少しずつスキルアップできる環境なので、飽きっぽくなければ問題ありません。
保温工事・断熱工事の将来性とキャリアアップ
保温工事・断熱工事は、建築・設備業界において今後も高い需要が見込まれる分野です。省エネやカーボンニュートラルといった時代の流れを背景に、断熱技術はますます重要視されています。また、職人として現場で経験を積むだけでなく、将来的には資格取得や独立、管理職への道もあり、長期的なキャリアを築きやすい職種です。ここでは、具体的な将来性やステップアップの道筋について紹介します。
省エネ・環境重視の時代に求められる技術
現在、多くの企業や施設で「省エネ」「エコ」「カーボンニュートラル」への取り組みが進んでいます。その中で断熱技術は、エネルギー効率を高める重要な要素としてますます注目されています。特に冷暖房の効率化や、熱を扱う産業設備では、保温工事の質が直接的にコストや環境負荷に影響します。つまり、今後も社会に必要とされ続ける技術であり、長期的に安定した仕事を求める人にとっては非常に魅力的な分野です。
継続的な需要と仕事の安定性
保温工事は、新築工事だけでなく、既存建物や設備の修繕・更新でも必要とされます。空調設備や配管類は定期的に点検・改修が行われるため、保温作業の需要も継続的に発生します。また、工場や病院、商業施設など、機能を止められない施設では定期メンテナンスが不可欠です。これにより、一度スキルを身につければ、安定して仕事が途切れにくいという利点があります。不景気や社会変化にも強い職種といえるでしょう。
資格取得でスキルアップが可能
保温工事には国家資格などの必須条件はありませんが、一定の経験を積むことで「保温保冷工技能士」や「建築配管技能士」などの技能資格を取得することができます。これらの資格を取得すると、専門技術者としての信頼度が高まり、給与アップや現場での指導役に抜擢されるチャンスも増えます。また、講習形式の資格も多く、働きながらでも挑戦しやすい点も魅力です。スキルアップの意欲がある人にとって、明確な目標を持って成長できる職種です。
保温工事・断熱工事に関する関連資格
保温工事・断熱工事の仕事は、資格がなくても始められる点が魅力の一つですが、現場での経験を積みながら資格を取得していくことで、スキルの証明となり、キャリアアップにもつながります。特に技術力や安全意識が求められる現場では、資格を持っていることが信頼の証にもなります。ここでは、保温工事に携わる方におすすめの資格や、それぞれの特徴についてご紹介します。
技能講習・特別教育
保温職人として現場で安全に活躍するために役立つ3つの講習・教育についてご紹介します。
玉掛け技能講習
クレーンなどで資材を吊り上げる際に必要なのが「玉掛け技能講習」です。保温材や板金材など、重量物を移動させる際には正しい玉掛けが不可欠です。受講資格は18歳以上で、実技と学科がセットになった講習を修了することで資格が取得できます。保温工事の現場でも大型資材を扱うことがあるため、取得しておくと現場で重宝されやすくなります。
高所作業車運転技能講習
高所に設置された配管やダクトの保温工事では、高所作業車の使用が必要になる場面があります。この技能講習では、10m未満・10m以上の高所作業車を安全に運転・操作する方法を学びます。受講後に交付される修了証は、多くの現場で必要とされる重要な資格です。若手職人でも受講しやすく、作業の幅が広がるので早めの取得がおすすめです。
低圧電気取扱業務特別教育
電気設備の近くで作業を行う場合や、電動工具を使用する場合には「低圧電気取扱業務特別教育」の受講が求められることがあります。600ボルト以下の低圧電気の危険性や、感電防止のための対策などを学ぶこの教育は、特にプラントや工場内の保温工事で役立ちます。電気設備に対する知識を持っておくことで、安全面での信頼が高まります。
作業主任者
特定の作業において「作業主任者」の配置が法律で義務づけられている場合があります。ここでは、保温工事現場で取得が推奨される4つの作業主任者資格をご紹介します。
足場の組立て等作業主任者
高所作業を行うために必要な足場の組立て・解体・変更作業において、現場の安全確保と作業者への指示を行う主任者です。足場作業は墜落事故のリスクが高いため、確かな知識と経験を持つ人材が必要とされます。講習は3日間で実施され、一定の実務経験が条件となります。保温工事で足場作業に関わる機会が多い職人にとっては、特に重要な資格です。
酸素欠乏・硫化水素危険作業主任者
マンホール内部やタンク内といった「閉鎖空間」で作業を行う際には、酸素不足や硫化水素による中毒の危険があります。このような場所での作業を安全に進めるためには、本資格を持つ主任者が現場に必要です。保温工事でもプラントや地下設備などで該当するケースがあるため、取得しておくと安心です。講習は2日間で完結し、費用・日程ともに受講しやすいのも特徴です。
石綿作業主任者
古い建物や配管の保温材には、かつて石綿(アスベスト)が使用されていたケースがあります。改修工事などでこれらを扱う場合、安全管理と作業方法の指導ができる「石綿作業主任者」が必須です。石綿は人体に悪影響を及ぼす物質であるため、厳格なルールのもとで作業を行う必要があります。講習は2日間で、解体・改修現場に関わるすべての職人にとって価値ある資格です。
特定化学物質および四アルキル鉛等作業主任者
断熱工事の一部では、特殊な接着剤や薬剤を扱う場合があります。そうした現場で必要となるのが、「特定化学物質および四アルキル鉛等作業主任者」です。人体に有害な化学物質を安全に取り扱うための知識を学び、現場の安全を監督します。この資格を持つことで、より高度な現場での作業にも対応できるようになり、仕事の幅が広がります。講習は2日間程度で実施されます。
熱絶縁施工技能士(国家資格)
「熱絶縁施工技能士」は、以前「熱絶縁工」と呼ばれていた資格で、建物の断熱施工に関する専門技術を証明します。熱の移動を防ぐための断熱工事全般に関する知識と実技が問われ、保温・保冷だけでなく、結露対策なども含まれます。この資格を持つことで、工事の品質や効率に関する専門知識を持つ技術者としての評価が高まり、監督者やリーダー職へのステップアップにもつながります。
登録保温保冷基幹技能者(公的資格)
「登録保温保冷基幹技能者」とは、厚生労働省の認可を受けた公的資格であり、保温・保冷工事において作業の中核を担うリーダー的人材であることを証明する資格です。現場の安全管理・工程管理・品質管理など、職人としての高度なスキルだけでなく、現場全体を統括する力が求められる上級資格です。保温保冷工事業の専門団体である「全国熱絶縁施工業協会連合会(熱絶連)」によって認定され、施工会社の信頼性や入札条件の強化にもつながるため、企業からの評価も高いです。この資格は、一定年数以上の実務経験および「1級熱絶縁施工技能士」の国家技能検定合格を前提としており、経験を積んだベテラン職人が目指すポジションです。